わざわざ遠方から訪れる客もいるほど人気店となった「はちどり食堂」。突然、三年間かけて作り上げてきたお店を閉める時がやってきた。

 漁港近くの古い日本家屋。九十九里が好きで、のんびり、ほっこりできる場所を作りたいと仲間に頼んで改装をして貰い「はちどり食堂」の看板を出したのが三年前のこと。以来、各地でやるイベントに参加したり、仕出し弁当をやったり、何かの専門家やタレントのあるお客さんとコラボして独自の企画を催したりしながら、楽しくファンの幅を広げてきた。
なかでも畳敷きの店内で行う『はちどり寄席』や、前庭を使って参加者が思い思いの出展をする開催する『夜市』は毎回好評で、こうしたひとつひとつの企画に常連さんがいて回を重ねるごとに、お客さんが新たなお客さんを呼んでくるほどの人気企画となった。
「ここを出なきゃいけないって大家さんから聞かされて、はじめは目の前が真っ暗になりました。」と、オーナーの太田直美さん。
 見知らぬ土地で、はじめてのお店。女ひとりで始めた食堂。たくさんの仲間に囲まれて、いつも笑顔を絶やさないイメージの太田さんにも「これでいいのかな」と思い悩んだ時期もあったそうだ。飲食店の経営の傍ら、自分の内面を突き詰めようとしてカラーセラピーやカードリーディングを学んだ。自己流だけど、たくさんの書を描きためてきた。生き方や周囲とのかかわり方を模索するうちに、場所やスタイルにこだわらない、新しい考え方が育ってきた。
 間もなく起きた東日本大震災。津波が店に押し寄せて、厨房は泥に埋まってしまった。暫くのあいだ休業を余儀なくされた。その時も思った。
「何をやるにせよ、外からの要因でダメになっちゃうのは嫌だ。」
 たとえお店が無くなってゼロになったとしても、何処からでも始められるようにしよう。
 確かに三年間かけて作ってきた「はちどり食堂」を閉店することは、寂しい。それでも太田さんは「流れに逆らわないで行こう」と決めた。
「はちどり」が店を飛び出した。「お店がなくなっちゃったら、タイヘンでしょう…。」と心配してくれる人もいるが、むしろ、お店がなくなったことで「ウチへ来てはちどりごはんを作ってよ!」って言ってもらえる。5月18日、地元商工会との連携企画『空と海のレインボーマーケット』を開催。6月6日、地元のお寺の協力で新企画『お寺で夜市』を開催。26日は千葉、28日長柄、29日香取神宮、7月2日成田、4日銚子といった具合に、様々な業種の知人のお店でコラボ企画を展開している。確かに移動は大変になったけど、行動半径が広くなって、出逢いの幅も広がった。「はちどり」のファンは、今なお増え続けているのだ。

ハチドリ企画 太田直美さん

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