本を書く、本を作る


一生の間に、自分で作った文章を「印刷して」「本にする」なんて絶対ありえないと思う。」
 いまだにそう考えている人もいるかもしれない。でも、実際作ってみると、『本』ってもっと身近なものなのだ。現にワタシの周りにはたくさんの「作家」さんたちが存在する。
 携わっている活動がきっかけで絵本を描いたFさん。葬儀の現場の仕事をしながらプロの視点で「エンディング・ノート」を作ってしまったTさん。懐かしい故郷の想い出を綴った英国人のBさん。長年の郷土史研究の成果あって地元の風土記を発刊したMさん。80歳誕生日にご主人と歩んできた人生を振り返り自分史を作ったNさん。
 べつに直木賞を取ろうって訳じゃない。(場合によっては)売らなくても構わない。ただ「表現したい」「伝えたい」「残したい」。職業柄、ワタシの周りには、日々そんな思いが集まってくる。
「どんな本になるんだろう?」
 これまた職業柄、やってきた原稿をいちばん最初に読むのがワタシの特権。身近な「作家」さんたちの「表現したい」「伝えたい」「残したい」を壊さないように、表紙や目次、挿絵など本のイメージを煮詰めていく時はとても楽しい。
 文章を読む作業は案外簡単だけど、慣れていないと書く方は結構難しいものだ。「作家」さん達もきっと書き始めは苦労しているに違いない。でも、創作の世界に没頭すると、やがて気分もノッてくる。思いをつらつらと認(したた)めているうちに、いつの間にかコトバが溢れてキーボードを打つ指が(もしくはペンが)止まらなくなることだってある。歌を歌うように、絵を描くようにコトバが出てくる時は本当に快感。時間を忘れて、気が付けば「あらら、ちょっと文字数オーバーかな」とか…。
 そうして書いてみた原稿が、ついには作品として仕上がってくる。世の中にはますます電子媒体が増えているというのに、あえて「印刷」して「本に」する。手に取って読めるカタチになって、貴方のコトバひとつひとつが目の前に現れるのだから、感動。

(宮原政志/街波通信社代表)




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